かつて華南地方出身者をはじめとした華僑が多く従事した仕事の中に、三把刀と言う例えがありましたが、現在和僑と呼ばれる人達も同様の共通点が見かけられます。三把刀とは、料理人に理髪師と仕立屋の三つの職業のことを指しますが、現在、世界各地で寿司職人や美容師として活躍する日本人が年々増加の傾向になります。
中でも日本料理やお寿司、ラーメン関連の飲食業界に関しては、在留邦人数が多いエリアでは、仕事を見つけるのがそれほど難しくありません。そこで、料理人(飲食業界)の待遇と海外で働くためのポイント等について、以下ご紹介致します。
海外における料理人(飲食業界)の需要
在留邦人数が多い国や都市では、必然的に和食やラーメン店の料理人(飲食業界)の需要が高いと言っても過言ではありません。
2019(令和元)年10月1日現在の在留邦人数都市別ランキングを上から順に並べると、ロサンゼルス都市圏・バンコク・ニューヨーク都市圏・上海・シンガポールになります。
カナダを含む北米や東南アジアの首都、オーストラリアの主要都市が特に料理人(飲食業界)の求人が多く出ています。一方で、新規日本食レストランの開店も各国で見かけられ、世界全体がフィールドとなっています。
海外における料理人(飲食業界)の平均年収について【2024〜2025年版】
海外で料理人として働いてみたいと考えている人が増えていますが、平均年収は国や地域によって大きく異なります。以下では、日本人が多く暮らす人気の国での和食料理人の最新年収動向についてご紹介します。
日本:平均331万〜350万円(2024年)
日本の調理師の平均年収は322~350万円前後で推移しています。調理師見習いは約263万円、一流ホテル勤務では350万円〜、一千万以上稼ぐケースも見られます。東京都が最も高く約490万円、大阪府が約420万円で続きます。ホテルや旅館で取締役を兼任する料理人は年収1000万円超えも可能です。
北米エリア(アメリカ・カナダ):400万〜950万円(2024年)
アメリカでの和食料理人の求人相場は400万〜950万円。ラスベガスなど高収入エリアでは600〜900万円が見込めます。カナダも同水準で、未経験可の求人でも年収360万円以上から始められる場合があります。経験や実績次第で料理長クラスは大幅な収入アップが可能です。
オセアニア(オーストラリア):約380万〜600万円(2024年)
オーストラリアの調理師の平均年収は470万円前後ですが、為替換算では約380万円。料理長クラスでは600万円近い求人も見られ、和食レストラン需要の増加と共に待遇も改善しています。
アジア(シンガポール):480万〜850万円(2024年)
シンガポールでは、本格和食の需要が高く、年収480万〜850万円以上の案件も存在します。転居費用サポートなど待遇面も充実しており、アジアの中でも高待遇の市場です。
アジア(タイ):年収約220万〜520万円(2024年)
タイの料理人の月収は5万〜10万バーツで、年収換算すると約220万〜520万円。高級寿司店では456万〜800万円の求人も確認されています。物価が安いため、現地生活では非常に良い水準となります。住居手当や食事補助など、面接時の条件確認も重要です。
ヨーロッパ(フランス):300万〜720万円(2024年)
フランスの調理師の平均年収は約300万円、料理長クラスでは430万〜720万円。一流シェフは数千万〜数十億円規模を稼ぐこともあり、トップシェフは世界的に桁違いの収入です。和食料理人も高級レストランでの需要が高まっています。
料理人(飲食業界)の年収は、総体的に日本より外国の方が全体的にやや高めのようです。将来的にホテルや旅館の料理長か独立を目指すのであれば、日本で見習いからはじめサード(三番手)やセカンド(二番手)とへとステップアップして、腕を磨くのもいいでしょう。
同時に、外国で一から料理人へチャレンジする人も今後増えると言って良さそうです。また、お客様から見える位置で調理場を取り仕切る花板やサード以上の現在地であれば、海外でチャンレジしてみるのも悪くありません。
海外で料理人(飲食業界)になるために必要な語学力や資格は?
海外で料理人になるために必要な語学力の定め自体は、ほとんどの国でありません。就労ビザ取得のために一定以上の公用語のレベルを設けているところも国によってはありますが稀です。ここでは、語学力に加え必要な資格についてご説明致します。
海外で料理人(飲食業界)になるために必要な語学力
和食の調理人の求人案件では、語学力不問とよく見かけますが、実際外国語能力を問われないケースが多いです。それでもせめて英語か就業先の国の公用語で、必要最低限のコミュニケーションを赴任までに図れるようになっておきたいものです。
実際口より手を動かしていることが多いので、語学力が最も重視されるわけではありません。ただ、一日一つの単語でも覚えて、蓄積すると2~3年後には、かなりのボキャブラリー数になります。店舗のマネージメントや独立ともなると、会話力に加え、書類関連の関係もあって、読み書きが出来るに越したことはありません。
イタリアやフランス等ヨーロッパで現地の料理を学ぶために、修行をしに行く場合には、せめて中級レベル以上の語学力が欲しいです。
海外で料理人(飲食業界)になるために必要な資格
おおむねほとんどの国で外国人が働くには、就労ビザの取得が義務付けられています。就労ビザ取得がスムーズに行くのに、日本の調理師免許があると助かる場合があります。必須ではないにしても、あるとステイタスとして存在感を発揮出来るでしょう。
日本人が外国の料理を習得するのに人気なのが、イタリアやフランス、香港です。料理留学をすると、レジュメに学校名を書いていることで、現地の生活を体験したというアピール材料にも繋がります。ただ、現地の言葉で授業が行われるため、事前に語学学校へ行くことを考えると、かなりの金銭的負担が生じます。
金銭的な負担を減らすには、まずは飲食業界で働き、経験を積んでから転職を考える、海外での展開を視野に入れている飲食業界を狙って就職・転職するのも良いでしょう。
海外で料理人(飲食業界)になるために必要な経験や向いている人の特徴は?
料理人や飲食業界は典型的な縦社会と言われていますが、最近ではシステム化されてきて、ややそのような風潮は薄れてきていますが、それでも職場によっては、上司や親方などの意見に逆らえないと言った保守的な考えが残っている飲食業界も少なくありません。
それが、外国に行くと、国によって全く習慣が異なるので、むしろ柔軟性がある人が向いていると言えます。
海外で料理人(飲食業界)に必要なスキルや経験
一番確実なのは、まずは飲食業界で働く、料理人であれば日本で料理の基礎から学ぶ、いわゆる見習いからはじめることです。ご存じの人も多いと思いますが、日本の技術職の多くは、目で見て覚えると言った風習が強いです。人との繋がりがタイトなので、上の人達から可愛がられることも大切です。人間的に不器用でも誠実で、努力を惜しまない人が将来的に活躍出来るのは、今も昔も変わりません。
ただ最近では、飲食業界に特化した転職エージェントもあり、コネやツテがなくても、海外展開を視野に入れている企業先を斡旋してくれるなど、海外での仕事探しをフォローしてくれます。同様に料理人であれば、海外では見習いから採用されるケースも珍しくはないので、強い意志を持って望みましょう。
もちろんホテルや旅館等でサード(三番手)やお店の花板以上になるぐらいの経験やスキルがあれば、海外でも活躍出来る道が大きく開かれます。なお、ラーメン店をはじめ、海外にフランチャイズを展開しているところでは、未経験でも働くことが出来そうです。
海外勤務における料理人(飲食業界)に向いている人の特徴
調理人に限らず、先ず気が長いことが、海外勤務で必要なことになりそうです。上の立場に立つ人であれば、外国ではミスを起こしたときは、叱るのではなく理性的に教えることが必要な能力となります。
また、日本でも同じことが言えますが、体力が必要な上に健康であることが大切です。繁忙期は特に回転が速く忙しいので、体力がものを言います。なるべく食欲が落ちないように、現地の食事が合わない場合は、まかないで対応して貰えると良さそうです。
また、外国で働く事になるので、現地の職場や生活に柔軟に対応出来るかも大きな鍵となってきます。言葉うんぬんよりもコミュニケーション能力や問題解決能力が高い人が向いています。外国によっては、日本の調味料が中々手に入らないことがあるので、より和食に近い味付けを考えると言った臨機応変さも必要でしょう。
海外の料理人(飲食業界)と求人について
海外の料理人(飲食業界)と求人は、和食や調理人に特化した求人サイトで探すのが最も効果的と言えます。そのほか転職エージェントやフリーペーパーでの求人募集を、活用している人も少なくありません。見逃せないのが、お店に貼り出されている求人や現地で暮らす日本人からの紹介です。
海外における料理人(飲食業界)の現地採用について
なお、外務省のホームページでは、「都市別在留邦人数推計上位50位推移」が紹介されていますので、仕事や移住先探しのヒントになりそうです。
和食や調理人に特化した求人サイトを活用するのであれば、日本にいながらにして仕事を探すことが出来ます。また、現地の転職エージェントへ登録をしにオフィスへ行く、またはお店を直接尋ねてみると、比較的早く仕事が見つかりそうです。労働契約面で確実なのは、求人サイト転職エージェントになるでしょう。
海外における料理人(飲食業界)の駐在員求人について
一般社団法人 国際交流サービス協会では、世界220箇所にある日本国大使館や総領事館の公邸料理人の求人募集をしています。
駐在員求人の求人案件のカテゴリーとそのほか見なされるのが、日本が本店で現地にお店を構える和食レストランやラーメン店等です。駐在員求人に該当する日本本社採用であれば、平均的に待遇や条件も良く、求人サイトや転職エージェントの活用が最も有効的です。
最後に
海外就職だけでなく、海外永住でもチャンスがあるのが、料理人です。幸いにも日本人が多く暮らす外国のほとんどの都市で、和食のレストランがあるので、仕事探しもそれほど困ることがなさそうです。
加えてインバウンドブームなので、一旦外国で見習いからはじめて、その後日本に帰国してホテルや旅館で働く事も可能です。外国で飲食業界に携わると、現地の言葉や習慣を覚えるので、より味わい深い人生を送ることになります。
海外企業、外資系企業、日系グローバル企業に強い転職エージェント
「海外勤務がある企業」「外資系企業」「日系グローバル企業」へ転職したい方の中には、どのようなステップで応募すればいいのか悩まれる方も多いと思います。直接、会社のオフィシャルサイトで採用情報を記載されている企業もたくさんありますが、外資系企業や海外勤務のあるグローバル企業へ転職される方の大半は、「転職エージェント」を利用して転職される方がほとんどです。外資系企業・海外勤務のある企業へ転職する際には、それに特化した転職エージェントがあります。
海外就職・グローバル案件・外資系の転職案件に強く、書類選考に必要な英文レジュメや英語面接などのサポートもしっかりあるので、今後、「海外勤務がある企業」「外資系企業」を目指す方は、登録しておさえておきたい転職エージェントになります。2〜3社に登録をしてセカンドオピニオンを持たれることをおすすめいたします。
Web面談可能、20代〜50代の外資系&グローバル転職のエンワールド
エンワールドは、多国籍企業と国際的な視点を持つグローバルな人材をつなぐ、日本でトップクラスの外資系・グローバル転職の人材紹介会社です。
現在は海外求人の取り扱いはないようですが、国内の有名外資系企業や日系グローバル企業の案件を保有しているので、将来的に海外勤務できる可能性があります。
Web面談も可能で、相談は全て無料。20代〜50代の転職支援を積極的に行なっているので、転職初心者からハイクラス案件を求めている方におすすめです。
20代・30代の転職・グローバル・海外就職に強いランスタッド
ランスタッドは、1960年にオランダで創業された世界最大級の総合人材サービス会社です。世界39の国と地域に4,700以上の拠点を持ち、50年以上にわたり培ったノウハウと信頼のある転職エージェントです。
日本国内に136拠点あり、20代〜30代第二新卒の転職サポートに実績があります。グローバル企業、海外勤務、外資系企業の取り扱いも多数。相談は全て無料。ハイキャリアだけでなく、年収400万円〜の求人も多数。エージェント登録前に履歴書や職務経歴書などを用意して、エージェント登録後は履歴書の登録をすることで、迅速に案件を紹介してもらえるようにしておきましょう。
非公開求人数・成功実績No.1のリクルートエージェント
リクルートエージェントは、非公開求人数は業界最大級の約10万件。求人の90%は非公開求人 · 転職成功実績No.1 · 年収1000万以上の求人、外資系企業・海外就職・グローバル企業の案件も多数。
日本最大級の求人件数を誇る転職エージェントなので、まずは登録しておきたい転職エージェントです。相談は全て無料。
年収800万円以上のエグゼクティブ求人に強いリクルートダイレクトスカウト
リクルートダイレクトスカウトは、年収750万円以上の求人、エグゼクティブ求人・グローバル企業・外資系企業のハイクラス求人が豊富に揃うリクルートが運営するハイクラスの転職エージェントです。
求人は非公開のものが多く会員登録することで、専門のヘッドハンターからスカウトを受け取ることができます。基準として直近の年収650万円以上の方に限定されるため、敷居が高いのが特徴。相談は全て無料。
外資系アパレル・ラグジュアリーブランド求人に強いクリーデンス
クリーデンスは「DODA」が運営しているファッション専門の転職エージェント。外資アパレルブランドやラグジュアリーブランドに特化した案件も強いので、外資系のファッション業界を目指す方にはおすすめの転職エージェントです。
担当コンサルタントと企業ごとに合わせた面接サポートもあるので、外資ブランドを初めて目指す転職者にとって手厚いサポートです。相談は全て無料。