ブータンで働くには?日系企業の駐在員求人や現地採用の就職事情とビザ申請について

「世界一幸せな国」と日本をはじめ、世界各地のメディアで紹介され、一躍有名になったのがブータンです。2011(平成23)年秋ブータン国王夫妻が、日本を国賓訪問されました。その後、日本の皇族も度々ブータンを訪問された映像が、まるで昨日のことのように今でも鮮明に当時を思い出す人も少なくないでしょう。ここでは、そんなブータンで働くに当たって、知っておくと役に立つ就労ビザや就職事情と求人について、ご紹介致します。

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ブータンで働くには?の就労ビザについて

ブータンのビザ発給は特殊なシステムを採用しており、前もって旅行会社を通してスケジュールを決め、公定料金を支払う必要があります。東南アジアなどのように国境で、自分で申請することはできません。1日当たりの公定料金は、時期によって異なりますので、「ブータン政府観光局」のホームページをご参照ください。なお、ブータンで外国人が働く場合、「ワークパミット」といわれる「就労ビザ」の取得が必要となってきます。

ブータンの就労ビザの種類や期間について

ブータンに観光以外の目的で滞在する場合、滞在理由に応じた滞在許可証をイミグレーション・オフィス(移民局)にて、取得してください。就労を伴う滞在許可証の中に、「就労ビザ」に該当する「労働用/Work Permit」と「婚姻・家族用/Stay Permit」があります。

労働用/Work Permit

ブータンで就労する外国人用のビザ、一般的にいう「就労ビザ」にあたるのが「労働用/Work Permit」です。労働許可の有効期間中に入出国する場合、再入国許可証の所持が必要となりますので、注意が必要です。再入国許可を得ずに出国する場合、労働許可は無効となり、必然的に出国時に許可証を返納する形をとらされます。

婚姻・家族用/Stay Permit

ブータン人と婚姻した外国人配偶者とその子供用にビザ、「「婚姻・家族用/Stay Permit」、IDカードが発給されます。また、「労働用/Work Permit」と「婚姻・家族用/Stay Permit」のいずれを取得していても規制地域に入域する外国人は、規制区域許可証(Restricted Area Permit)事前取得が必要となります。

ブータンの就労ビザの申請について

外国人の受け入れに関しては、就労だけでなく観光でも一定の基準を設けているのがブータンです。なお、駐日ブータン王国大使館は、インドの首都デリーにある「在インド日本国大使館」が業務を管轄しています。

ちなみに「在東京名誉総領事館」や「在大阪及び在鹿児島名誉領事館」では、ビザに関する業務は取り扱っていません。「在インド日本国大使館」に要確認ですが、移住に必要な英文「健康診断書」や「無犯罪照明」に加え、「最終学歴証明書」「職務経歴書」を準備することになるでしょう。

ブータンの就労ビザの申請の難易度

かつてブータンは、鎖国政策を経て年間2000人の入国制限を実施していました。自由旅行は難しい環境にあったものの、現在では入国制限は原則的に解除されつつありますが、依然として就労ビザの申請の難易度は高いといえます。言い換えると、外資系企業も少なく、ブータンでの就職は簡単ではありません。



ブータンの就労ビザの申請に必要な語学力

ブータンの就労ビザの申請に必要な語学力の基準はありません。ブータンでは公式に、チベット語系のゾンカ語が公用語です。そのほか、ネパール語と1949(昭和24)年までの長い間イギリスの保護国であったことから英語も広く使われています。ブータンの学校ではインド人をはじめとする多くの外国人教員が教鞭を執っており、知識階層の多くが英語を話せます。

ブータンの就職事情と求人について

 外務省の調べによると、ブータンの在留邦人数は130名、在日ブータン人は836名と紹介されています。現地に日本人学校はありませんが、東京都文京区音羽にある「日本ブータン友好協会」と「神戸友好協会」が二国間の友好親善と文化交流の促進に努めています。現地に進出している日系企業数のデータはありませんが、日本が最大の援助国となっています。

日本におけるブータン系企業

対日貿易での輸入においては、自動車関連部品や小型掘削機、合金鉄・非合金鋼・鉄製品が主要品目となっています。輸出では、生鮮・冷蔵野菜や合金鉄などが挙げられます。ブータン経済において農業は非常に重要な基幹産業であり、現在官民問わず日本側も注目を集めています。現状では、日本におけるブータン系企業は、滅多に見かけません。

ロイヤルブータン航空

シンガポールやタイのバンコクなどへ直行便を運航しているのが、ブータンの国営航空会社のロイヤルブータン航空です。株式会社エアー・アンド・トラベル・マーケティングが運営する日本総代理店GSA、株式会社エージーティが運営する日本地区指定代理店は、ロイヤルブータン航空の関連会社になります。

日本人駐在員が多く暮らすシンガポールやタイに加え、インドやバングラデシュの主要都市とブータンを結んでいるのがロイヤルブータン航空ですが、今後利用者がさらに増えそうです。

ブータン政府観光局

世界各国の旅行社から「最後の秘境」や「シャングリラ(心の中の月と太陽)」と称されるブータンは、まさに夢の国です。ヒマラヤ山脈の東端にある仏教王国ですが、チベットやインドのアッサムと同じく、風貌や性格が日本人と共通点が見えてきます。

そんな魅力溢れるブータンの観光情報を発信しているのが、「ブータン政府観光局」です。2014(平成26)年よりForesight Marketing (フォーサイト・マーケティングが、「ブータン政府観光局」の日本事務所の運営をおこなっています。

ブータンの現地採用

入国制限を設けているにも関わらずブータンの在留邦人数は130名なので、思ったより多いです。主に農業指導や日本教師のような国際貢献において、現地で活躍している日本人も少なくありません。ここでは、そんなブータンでの現地採用について、ご紹介致します。

日本語教師

ブータンは東南アジアのラオスと同じく、人々が素朴で、そんな中で日本語を教えてみたいという人も少なくないでしょう。国際日本語研修協会をはじめ、日本語教師の求人を取り扱ったホームページもあります。ただ、国・地域別でブータンの項目がない場合は、「国名 日本語教師 求人」で、検索してみてください。

ちなみに現地にいくつかある日本語学校の中で、ブータン日本語学校(The Bhutan Centre for Japanese Studies)は、Facebookのページで案内されております。

外資系ホテル

ブータンは、1泊最低200ドルを旅行者に課す公定料金制度を導入していて、一見垣根がやや高そうに見えます。そんなブータンには、公定料金内では泊まることができないほどの高級五つ星ホテルも点在しています。その中で注目したいのが、東南アジアを中心に贅沢・小規模リゾートを展開している、ホテルチェーンアマンリゾーツ((aman resorts)です。

なお、穴場的な存在のアジア方面の観光地のホテルの求人を見かけるのが、シンガポールやタイの英字新聞です。また、ホテルチェーンアマンリゾーツのアマン東京などやホテル予約専用サイト、ブータンツアーを催行している旅行会社から外資系ホテルの情報を仕入れるのも一つの選択肢です。

ブータンの駐在員求人

ブータンで存在感を発揮しているのが、JICA(独立行政法人国際協力機構)です。ブータンは近年、急速に進む都市部の近代化による都市環境問題や格差社会を少しでも解消する雇用創出などが重要な課題となっています。そこで、JICAではブータン政府の重点分野を考慮しながら「農業・農村開発」「社会開発」「経済基礎基盤」「ガバナンス強化」の4つの柱を主として、支援を展開し続けています。

農業指導

1960~1990年代にブータンやネパールにおいて農業指導で活躍をされた西岡京治さんという日本人農業指導者、植物学者がおられました。ブータンの農業の発展に大きく貢献し、「ブータン農業の父」といわれるほどの人です。

ブータン国王からは、「最高に優れた人」を意味する「ダショー」の称号を贈られました。また、ブータンには、海外技術協力事業団(現・JICA)のコロンボ・プランの農業指導者として、奥さまとともに1964(昭和39)年に赴任されました。

仏教美術の建築修復作業

首都ティンプーにある「タンカ保存修復センター」で、日本人がブータンの仏教美術の建築修復作業において、大きな役割を果たしました。2018(平成30)年秋まで、センターの所長代理として駐在していたのが岩田侑利子さんです。紙を切る刀や紙を切る刀、生地の接着に使う膠(にかわ)や和紙なども日本製を使用したそうです。

日本の修復技術は、西洋の合理性とは相反し、伝統と科学のバランスが良いのが大きな特徴に挙げられます。ブータンも同じ仏教国であり、職人の丁寧な技術を基本として、精神性も伴うのが日本の匠と言えます。また、神社仏閣の設計施工と保存修復を手掛ける会社「アイチケン」(愛知県江南市)が、日本の技術でブータン最古の寺院も丸ごと修復しました。ブータンにおいて、農業やインフラ整備以外にも特別な信頼を得ました。

最後に

テレビや雑誌などで紹介されるブータンの寺院を見ると、子どもの頃に見た『西遊記』の天竺を思わずイメージしてしまいます。ブータンやチベットから日本や東南アジアなどに仏教が渡ってきたのかもしれないと思うと、どこか懐かしさを覚えてしまいます。

国土の72%が森林のブータンでは、美しく神秘的な高山植物に出会うことができ、何よりも人々は、おおらかでやさしいです。そんな中で日本との関係がますます深まり、現地で仕事ができる機会が増えることを望んでいる人も少なくなさそうです。

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